—はじめに より—
本書は、ブラウザーを中心としたWeb技術を利用して、さまざまな自動処理やデスクトップアプリを開発するための指南書です。ブラウザー拡張や、ブラウザーを自動操縦する方法、ブラウザーライブラリーを利用したデスクトップアプリやツールの作成方法を紹介します。
現代のブラウザーは、WebKitというオープンソースのレンダリングエンジンを源流とし、高度に進化してきました。HTMLやCSSを表示するだけの存在ではなく、JavaScriptを用いた高速な処理、GPUを活用した描画、ファイル操作、ネットワーク通信など、かつてはネイティブアプリでしか実現できなかった機能を数多く備えています。
その結果、ブラウザーは「Webページを見るためのソフト」から、「汎用的な実行環境」へと姿を変えました。実際、メール、表計算、画像編集、動画編集、チャット、IDEに至るまで、日常的に使われている多くのアプリケーションがブラウザー上で動作するようになりました。
この強力な実行環境に対して、外部から機能を追加し、動作を制御できる仕組みが「ブラウザー拡張」です。ブラウザー拡張を使えば、閲覧中のページを書き換えたり、特定の操作を自動化したり、ユーザーの行動をきっかけに独自の処理を実行したりできます。
さらに近年では、ブラウザーを操作対象とする自動化技術も発展しています。人がマウスやキーボードで行っている操作をプログラムから再現し、ログイン、検索、データ取得といった一連の作業を自動化できます。これにより、日々の繰り返し作業や、手作業では手間のかかる処理を効率化することが可能になります。
加えて、ElectronやTauriに代表されるように、ブラウザー技術を土台としたデスクトップアプリ開発も一般的になりました。HTML、CSS、JavaScriptというWeb技術をそのまま使って、WindowsやmacOS向けのアプリケーションを配布できるため、開発コストを抑えつつ、見た目や操作性に優れたツールを作成できます。
本書では、こうした「ブラウザーをプラットフォームとして使い倒す」ための考え方と実践方法を解説します。まずはChromeのブラウザー拡張を題材に、ブラウザー拡張で何ができるのか、どのような仕組みで動いているのかを理解するところから始めます。その上で、実用的な自動化やツール開発へと話を進めていきます。ブラウザーを味方につけることで、日常の作業は驚くほど楽になります。
【本書の対象読者】
•ブラウザーを中心とした業務の自動化を実現したい人
•ブラウザーが備える機能をもっと使い倒したい人
•ブラウザー拡張を作りたい人
•AIを活用してスクレイピングを実践したい人
•デスクトップアプリ(Electron/Wails/Tauri/pywebview)を開発したい人


目次
Chapter1 ブラウザー・プログラミングでなにができるの?
Chapter2 ブラウザー拡張を作ろう
Chapter3 ブラウザーで自動操作とスクレイピングを実現する
Chapter4 Web技術を使ってデスクトップアプリを作ろう
Chapter5 デスクトップアプリとブラウザー拡張の組み合わせでアプリを!
Chapter6 ローカルAPIサーバーとAIエージェント&RAGの活用
Chapter7 実用アプリ開発に取り組もう
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